
1969年、阪神芦屋駅前に誕生した「アンリ・シャルパンティエ」。その名は、クレープ・シュゼットを考案した、19世紀のフランスの料理人の名前からつけられました。
創業者・蟻田尚邦がそのクレープ・シュゼットに出会ったのは、そこからさらにさかのぼること数年前のこと。コック見習いの彼の眼に焼き付いたのは、青い炎に包まれるデザートの魅力だけでなく、それを目の前にするお客様の幸せそうな表情でした。
「クレープ・シュゼットを前に、炎に浮かんだお客様の笑顔が忘れられませんでした。デザートがこんなにも人を幸せにするなんて」。心の底からそう感じた蟻田は、クレープ・シュゼットのオレンジの香りに誘われるように、洋菓子に心を傾けていきます。
そして1969年、「幸せを運ぶデザートを、より多くの人に味わっていただきたい」という思いを込め、喫茶店としては初めてデザートを出す店「アンリ・シャルパンティエ」を芦屋にオープン。ほぼ同時に始めた洋菓子のテイクアウト販売も除々に評判を呼ぶようになったのです。
当時、折からの女性誌、行楽誌ブームにのって、アンリ・シャルパンティエの名前は全国に知られるようになりました。素材と手づくりにこだわったフレッシュな生ケーキや、ギフト用に開発した焼き菓子が大ヒット。中でも、人々の心にその名を強く印象づけたのは、アンリ・シャルパンティエが“芦屋”という町から発信されていることでした。
芦屋は、日本の中でもいち早く海外の生活を取り入れた町。その環境の中で培った革新性と調和性をもった芦屋の人によって、アンリ・シャルパンティエの商品は受け入れられ、「アンリ」の名前で親しまれていきました。お菓子づくりにおいて正統とされるフランスの伝統のみならず、パリの革新のエッセンスをももったアンリ・シャルパンティエのお菓子は、この40年の間、いつも芦屋から生まれ、世に広まってきました。
創業当時、ゆっくりとお茶とお菓子を楽しんでいただくために、大きく窓をとられた芦屋本店はいく度の改装を経た今も同じように明るく、上品なインテリアに包まれています。販売スペースのブティックのショーケースやサロン・ド・テの壁面はピンク色の大理石に囲まれ、四季折々の生花によって華やかな演出がなされています。そのおもてなしの心は1969年の創業から何ひとつ変わっていないのです。
芦屋に生まれ、育てられて40年。アンリ・シャルパンティエの「物語」はお菓子を通じてお客様の感動を創り出すこと。「フレンチ・スイーツの新しい物語を、芦屋から。」その本質は変わることなく、さらに進化していくのです。

