芸術的、そして文化的創造活動のひとつとして料理を考えるイベント「パリ・デ・シェフ フード+デザイン Paris des Chefs – Food+Design 」が、1月22日から3日間、パリで開かれました。
この「パリ・デ・シェフ」は、ヨーロッパ最大級のインテリア見本市「メゾン・エ・オブジェMaison & Objet 」の一イベントとして、2009年にスタート。4回目を迎える今回は、見本市とは別に会場を設けて行われました。
中心となるイベントは、有名シェフによるデモンストレーション「レ・デュオ」。通常のデモンストレーションと異なるのは、「デュオ」というタイトルの通り、料理人が、縁のある他分野のクリエーターとともにステージに立つという点。フランスを中心に、アメリカやイタリア、スペイン、ブラジルなどの料理人24人が、映画監督、俳優、画家、グラフィックデザイナー、建築家、ミュージシャンらとともに“出演”しました。
たとえば、「ル・ムーリス」シェフのヤニック・アレノ は、彼のレストランのデザインを手がけた建築家のアラン・モアティと、ミシュランの三つ星を獲得したことで一躍脚光を浴びたアンヌ=ソフィ・ピックは女優のキャロル・ブーケと、アメリカの「クワ」のシェフ、ダニエル・パターソンはドイツ出身のミュージシャン、ブリクサ・バーゲルドと……。

分野は違っても、クリエーター同士という共通項を持つ2人が料理を語ると、色、形、音、言葉、におい、ジェスチャーなど、さまざまな方面からアプローチが続きます。気心が知れたデュオだからこそ、クリエーターが料理人の普段の姿を披露したり、2人の遠慮のない会話が始まって、厨房の中を少しのぞかせてもらったような気持ちにもなることも。文化的な料理イベントですが、料理が料理人自身の表現であることを、あらためて実感できるイベントといえます。
フランスでは、“デザイン・キュリネールDesign culinaire”、つまり フードデザインいう言葉が、だいぶ市民権を得てきました。料理やパティスリーそのもののデザインや、パッケージや空間のデザインはもちろんですが、テーマに沿って料理や展示方法を考えた展覧会も行われるなど、アートやファッションとの接点も模索されています。

さらに、演劇界からのアプローチも始まりました。フランスの国立劇場「コメディー・フランセーズ」は5月に、作家や俳優が、料理人やソムリエらと組んだ舞台『感覚の読解Lectures des Sens 』 を企画しているそうなのです。香りをテーマに、言葉によって感覚を磨き、普段と違う角度から香りを感じてもらうのが目的とのこと。
「パリ・デ・シェフ」に参加した、「アルページュ」のオーナーシェフ、アラン・パッサールとフランス人俳優ギヨーム・ガリエンヌのデュオの出演も予定されています。新たな食の楽しみ方が、これからもまだ登場しそうです。(敬称略)
〈文・三富千秋/フランス パリ在住 2012年2月 〉


