1月に入ると、パリのブーランジュリー・パティスリーのショーケースには、普段のパンやお菓子を押しのけて、大小のガレット・デ・ロワがぎっしりと並びました。パイの中に隠されているフェーヴを見つける楽しみがあるお菓子で、最近は日本でもフェーヴコレクターが増え、ポピュラーなお菓子になってきているのではないでしょうか。元来はイエス・キリスト誕生を祝福した1月6日に食べる祝祭菓子ですが、パリでは1月末頃まで販売しています。パリジャン、パリジェンヌにとってパイ生地とアーモンドクリームの組合せが愛すべき味わいであり、味に定評があるお店には列ができていました。

ブーランジュリー・パティスリーでは、ガレット・デ・ロワの他にも、フランス人の食卓に欠かせないバゲットやクロワッサンなどのパン、ババやサヴァランなどのイーストを使ったお菓子、エクレアやルリジューズなどのシュー生地を使ったお菓子、ミルフイユやレモンのタルトなどのパイ生地やタルト生地を使ったお菓子、それからサブレやマドレーヌなどの焼き菓子など、幅広いラインナップのパンやお菓子が売られています。商品がずらりと並んだショーケースを眺めていると、フランス菓子の真髄は「焼き」にあることをつくづく感じます。

さて今回は、そのブーランジュリー・パティスリーに入ると、大抵目のつくところに売られている定番のフランス菓子、フィナンシェの話題をお届けいたします。フィナンシェは、フランス語で「金融家」という名前を持つ焼き菓子です。由来は諸説ありますが、約120年前、パリの証券取引所近くに店を構えた菓子職人が、ビジネスマンが背広を汚さず、すばやく食べられるようにと考案したとの一説が有力です。本場フランスのフィナンシェ、と思うと試してみたくなり、ついつい買ってしまいます。

約4×8cmサイズの長方形のフィナンシェ、値段は1個あたり2ユーロ前後です。味は、お店によって実にさまざま。ビターアーモンドが香るもの、バターが香るもの、バニラが香るもの、など。さらに、ヘーゼルナッツのフィナンシェ、ピスタチオのフィナンシェ、さくらんぼ入りのフィナンシェ、コンフィチュール入りのフィナンシェ、などアレンジしたフィナンシェを売っているお店もあります。また、店舗で売られている他にも、自家製フィナンシェを食後に出してくれるビストロもあったりと、パリジャン・パリジェンヌに愛されているお菓子であることを感じます。

パリで色々なお店のフィナンシェを試食するうちに、黄金色にふっくらと焼き上げた軽さが身上のフィナンシェは、アンリ・シャルパンティエの個性だと気づきました。そして、厳選に厳選を重ねた2種類のアーモンドの香り高さと芳醇な風味のオリジナル発酵バターのコクが混じりあった味わい深い余韻。1975年の発売以来、こだわりのおいしさを求めて、進化し続けてきた結果です。

パリラボでは、このフィナンシェを使用したデザートのバリエーションをシェフフェルデールと試作しています。本場フランスに負けない、愛されるおいしさをご期待ください。

(2012年1月)

