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Lettre de Paris

「パリからの手紙」では、さまざまな角度からパリ「衣・食・住」情報を毎月お届けする予定です。

市場

食通パリジャンの胃袋

市場といっても、パリ市内の朝市ではなく、今回は卸売市場マルシェ・アンテルナショナル・ドゥ・ランジスMarché International de Rungis、通称「ランジス」のお話です。パリの中心地から15kmほど南、オルリー空港にほど近いランジス市にあり、総面積はなんと東京ドーム約50個分に当たる232ヘクタール。約1200の業者が入店し、1万2000人が働いています。野菜やフルーツ、魚、肉、乳製品といった食品から、花、植物、雑貨にいたるまで、取扱商品は約150万トン、年間取引額は7兆7670億ユーロに上るという、世界最大級の市場です。

ランジスで扱っている食品の多くは、毎朝、パリのレストランやパティスリー、生鮮食品店へと送られていきます。ランジスこそが、パリの人たちの“胃袋”を支えているといっても過言ではないのです。直接食材を仕入れにやってくる、料理人やパティシエたちの姿もみかけます。さらに、名前にアンテルナショナル、つまり「国際」という言葉がついている通り、国際卸問屋としての役割も担っています。フランスの生産物や生鮮食品をヨーロッパ諸国、さらにはアメリカや日本に輸出するためのセンターになっており、市場内に保健所や関税書類を扱う事務所も併設されているのです。

パリの卸売市場はもともと、1110年にパリのど真ん中に造られました。しかし、次第に手狭になったことから、市場のの卸売市創設から8世紀以上を経た1969年3月、現在のランジスに移転。昨年、移転40周年を迎えました。元場は「市場」を意味するレ・アールLes Hallesという名前で、いまもそのまま地区名として使われていて、市場跡はショッピングセンターになっています。

さて、ランジス市場が目覚めるのは、朝の2時。まず鮮魚の販売が始まり、続いて3時に肉、5時に乳製品、5時30分から野菜やフルーツの部門が稼動。それぞれの食品カテゴリー別に巨大なパビリオンのような建物を数棟ずつ構えている市場の敷地内外では、トラックがひっきりなしに行き交い始めます。乳製品の建物は、つねに一定の温度を保っているので、巨大な冷蔵庫のよう。卸売市場ですから当然ですが、数十kgもある巨大なチーズや、5kg入りのバターがごろごろと積み重ねられていて、圧巻です。中でも、もっとも旬を感じられるのが、野菜やフルーツの建物でしょう。場内は広いので、移動には自転車が一番便利なのだそう。

そして場内にはもちろん、カフェやレストランもあり、朝7時を過ぎると、ビールやワインを飲みながら休憩を取ったり、ボリュームたっぷりの肉料理や生牡蠣などを頬張っている人も。朝からお酒に肉?? と一瞬びっくりしてしまいますが、従業員たちにとっては、1日の終わりにあたるくつろぎの時間帯なのです。

ランジス市場で扱っている製品は、一般の人には購入できませんが、市場内に入ることはできます。興味深い商品がたくさんあって、ついキョロキョロと眺めながら歩いてしまいますが、みなさんの仕事の邪魔にならないよう、気をつけたいもの。また、ひっきりなしに台車や自転車が行きかっていますので、くれぐれもご注意を。

〈文・三富千秋/フランス パリ在住〉

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