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Lettre de Paris

「パリからの手紙」では、さまざまな角度からパリ「衣・食・住」情報を毎月お届けする予定です。

タルトに夢中!

素敵な春の始まりは、かわいいタルトで。

今年のパリの冬はここ2年ほどに比べると、寒さのピークが少し前倒しだった感がありました。年が明けてからは雪も少なく、氷点下まで冷え込む日があまりなかったような気がします。それでも芦屋の冬に慣れ切った私にとってパリの冬は厳しく、毎年春が待ち遠しいもので、2月末頃からぐんぐん日が長くなってくると心底ほっとします。3月も中旬になれば、街路樹のマロニエは芽が顔を出し、公園の梅や桃、そして桜の花がほころびます。すると気持ちまでぱっと明るくなってくるので不思議なものです。そういえば、パリの桜というのもなかなか見事なものですが、それはまた来月の話題に・・・。

さて、今回は春のパリ・ブランシェの話題です。今回は「かわいいタルトで春を始める」というシェフフェルデールのアイデアで、「タルトに夢中!」というテーマです。もともと、このテーマはシェフフェルデールが昨年10月に出版したレシピブック「LES FOLLES TARTES」からコンセプトも言葉も貰っています。今やフランスのレシピブックの世界では押しも押されもせぬ第一人者のシェフフェルデール、同じく年末に出版した「PATISSERIE! パティスリー!」は、重版がかかる前にクリスマス商戦で品切れをおこしてしまうというベストセラーになりました。実はこの「パティスリー!」というレシピブック、これまでシェフフェルデールが手掛けた中で一番人気のシリーズ「Leçon ルソン(お菓子のレッスン)」の既刊9冊をぎゅっと1冊に凝縮した内容でいわばコンプリート・ベスト、しかも値段はこれまでの2冊分弱の39.90ユーロ(約4500円)、装丁もコンテンポラリーで上品で、そりゃ売れない訳がありません・・・。そんな人気沸騰中パティシエの提案するレシピブックの次のコンセプトは何か、常に注目されています。その最新の切り口を、パリ・ブランシェに持ってきたのです。

タルトはフランスの家庭で最もよく作られるお菓子です。またブーランジュリーの定番商品であるりんごのタルトやレモンのタルトから、高級パティスリーの創作系タルトまで数多くの種類があり、フランスでは広く愛されているお菓子です。このシェフフェルデールのレシピブックは家庭向けですが、実際に商品化するにあたってはパティシエとしての工夫を盛り込み、組み立てを少し凝ったものにしたり、工程にプロならではの技術を加えたりしています。今回、3種類のタルトを用意していますが、その中でもいちばん凝っている「木いちごとレモンバーベナのタルト」の説明を。

このタルトはハーブを使ったタルトで、レモンバーベナの香りを召し上がって頂くというコンセプトで、見た目から想像もつかない味の仕上がりになっています。レモンバーベナとは和名で「くまつづら」仏名では「Verveine ヴェルヴェーヌ」といい、レモンとシナモンを合わせたような香りを持ち、ハーブティーの材料として非常にポピュラーな存在です。ベースとなるサブレ生地の器には、生クリームでレモンバーベナをアンフュゼして香り付けしたガナッシュと、レモンバーベナのシロップを浸み込ませたスポンジを詰め、表面をフランボワーズのジャムで覆っています。タルトに詰めるクリームは通常アーモンド・クリームですが、今回はそれを使うと味が重くなるという理由からスポンジで代替しています。その上には牛乳でレモンバーベナをアンフュゼし、粉砕した乾燥レモンバーベナを混ぜたレモンバーベナのムースをのせ、木いちごとレモンバーベナのギモーヴを飾っています。木いちごもバラ科のフルーツで、バラを思わせる芳しい香りを持っており、それがレモンバーベナの香りと掛け合わされ、上質のフレグランスのように、トップノート、ミドルノート、ラストノート・・・とニュアンスを変えていく香りをお楽しみ頂けます。

ほか2種類のタルトもこちらで紹介しております。ぜひ一度、お試しください!

※アンフュゼ infuser(仏)フランス料理の技法で、加熱するなどしてある素材の香りを液体にうつすこと。

(2011年3月)

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