パリには、あちこちにカトリック系の教会がありますが、数百年もの歳月を経た石造りの教会だけではなく、20世紀に建てられた教会も存在します。
1998年に、パリ15区の公園に建てられたノートル・ダム・ドゥ・ラルシュ・ダリアンスNotre-Dame de l’Arche d'Allianceは、金属製の柵のような外壁に囲まれた、茶色い真四角の建物。正方形の各辺は18mだそうですが、12本の柱で支えられているので、一見、宙に浮いているようにも見えます。正方形の横から伸びる、円筒を重ねたような塔が、鐘楼です。木の扉を開けて中に入ると、黒光りする床に、何の装飾もない木の長椅子が並びます。正面の壁には、うっすらと光を放つ十字架が。両側の壁には、現代的なモチーフで神話を描いたステンドグラスが飾られています。
また、パリ16区にあるエグリーズ・サン・フランソワ・ドゥ・モリトールÉglise Saint François de Molitorは、2005年建築と、さらに新しい教会です。石壁の住居とまったく同じ高さに建てられていますが、外壁を包むのは、石ではなく、大理石。その白さが目を引きます。大理石という高貴な素材が、聖なる場所を象徴しているとのこと。内部の祭壇を囲み、弧を描くように椅子が並んでいます。


このほか1990年代に建てられた教会には、パリ13区のやはり公園内にある赤いレンガ造りのシャペル・ノートルダム・ドゥ・ラ・サジェスChapelle Notre-Dame de la Sagesse(2000年)、賑やかなバスティーユ地区ロケット通りにあるコンクリートとガラス張りのエグリーズ・ノートル・ダム・デスペランスÉglise Notre-Dame d'Espérance(1997年)、ガラスとアルミニウム素材が外壁に使われている19区のエグリーズ・サン・リュックÉglise Saint Luc (1999年)などがあります。
これらの新しい教会は総じて直線的で、無駄な装飾をいっさい省いており、現代的であると同時に、祈りの神聖さを強調しているかのようにも思えます。モダンなデザインですが、建築素材や色がその地区や隣接する住宅に溶けこんでいるので、違和感は意外にありません。重厚な石造りの教会も魅力的ですが、最新の技術と素材を駆使して、現代のパリの街に調和するよう造られた新しい祈りの場にも、機会があれば足を運んでみてください。
〈文・三富千秋/フランス パリ在住〉


