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Lettre de Paris

「パリからの手紙」では、さまざまな角度からパリ「衣・食・住」情報を毎月お届けする予定です。

ザッハトルテ

チョコレートケーキをめぐるウィーンへの小さな旅

昨年末にヨーロッパは大寒波に見舞われました。ここパリでも大雪のせいで交通や物流に大きな影響があり、先月の記事で紹介したアンリオリジナルのフェーヴが工場から届かず、さらに日本へ送る航空便も遅れひやっとさせられました。今月ご覧頂きたいのは、雪のノートルダム大聖堂とエッフェル塔の写真。大吹雪の日にどうしても外出しなければならない用事があり、それならばついでに・・・と決死の覚悟(大げさ?)で撮ってきた写真です。そして思えばこのパリラボ通信の初回コラムもブリュッセルで大雪にあったことを話題にしており、あれから1年が経ったんだな・・・と。おかげさまでこのパリラボ通信も2年目に突入です。

さて今回は、現在販売中の冬のパリ・ブランシェの話題です。冬のパリ・ブランシェは1月から2月を販売期間と設定していたため、企画段階でまずテーマからチョコレートは外せないと考えました。しかし、シェフフェルデールのつくるフランスのチョコレートケーキというのも当たり前すぎる・・・と行き詰まり、商品開発のヒントを求めてウィーンへ取材旅行をしたのです (そのときの様子)。ウィーン菓子は日本でも人気の高いザッハトルテを筆頭に、チョコレートケーキの宝庫。取材から帰って、シェフフェルデールに「ウィーン菓子というテーマはどうですか?」と投げかけると、それは面白そうだ!とノリノリで開発に取り組んでくれました。お菓子好きの方ならきっと、「アルザス出身のフランス人パティシエであるシェフフェルデールが、どういう解釈でウィーン菓子のザッハトルテをつくるのだろう」ということに興味を持って頂けると思いますので、その解説を。正直申し上げてまず私自身が興味津々で、それも企画の動機でした。

ザッハトルテは、もう説明不要なほど有名なウィーン菓子。「甘い7年戦争」と呼ばれるホテルザッハとデメルの法廷での争いもよく知られています。後発のデメルのものはザッハマッセ(ザッハトルテ用のスポンジ)が1層なのに対し、オリジナルのホテルザッハのものはザッハマッセがスライスされ、間にもアプリコットジャムがサンドされているという違いがあります。他のウィーンのコンディトライ(ケーキ屋)でも、ホテルザッハタイプのものをつくっているところが多いようです。そしてカフェで注文すると、無糖の軽い生クリームがたっぷり添えられて出てくるのは、ホテルザッハでもデメルでも他のコンディトライでも共通です。今回シェフフェルデールのザッハもアプリコットジャムをサンドしたホテルザッハタイプですが、パリで最新のクラシック・ルヴィジテの手法を用い、いろいろと工夫してザッハマッセを軽く仕上げることに重点を置いています。

まず、普通のチョコレートを使うと冷蔵ショーケースへ入れたときに、生地の油脂分が冷え固まってしまい、固い食感になってしまいます。そこで今回は油脂分(カカオバター)が少なく、カカオ67%とビターでドライな味わいを持つヴァローナ社のエクストラアメールというチョコレートを使用しています。また少量のベーキングパウダーを用い、スポンジを軽くふんわりと浮かせるようにしています。さらにスポンジをしっとりさせるため、オリジナルのザッハトルテにはない工程ですが、それぞれカカオパウダーの入ったシロップを染み込ませています。それからアプリコットジャムには、バニラとアプリコットリキュールを香らせ、酸味を立たせて仕上げています。最後に、オリジナルのザッハトルテはジャリっとした食感の表面のフォンダン(糖衣)がけが特徴ですが、これは残念ながら冷蔵保管をすると湿気により溶けてしまうため、冷蔵ショーケースには向きません。そこで、一度生地をガナッシュで覆った後、なめらかな食感をした独自の配合のパータ・グラッセ(上掛けチョコレート)で美しくマットに仕上げるようにしています。

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ザッハマッセは本来の姿を失うことなく軽くしっとりと仕上げ、味わいは甘みを抑えて苦みと酸味を加える、というのがシェフフェルデールのタッチでつくられたザッハトルテです。その他にも2種類、シェフフェルデールの手掛けたウィーン菓子を揃えています(案内はこちら)。この機会にぜひお試し下さい。

(2011年1月)

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