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Lettre de Paris

「パリからの手紙」では、さまざまな角度からパリ「衣・食・住」情報を毎月お届けする予定です。

菜園

フランス王家伝来の味?

世界中から観光客が集まるヴェルサイユ宮殿。ご存知のとおり、ルイ14世が1661年から半世紀を費やして建設させた豪華絢爛な宮殿です。宮殿のほかにも、噴水庭園、庭園内にある離宮「トリアノン宮殿」など、敷地内に見所はたくさんあります。さらに、ヴェルサイユ宮殿から1kmほど離れた場所に、ルイ14世の命によってつくられた9ヘクタールの広さを誇る菜園があることをご存知でしょうか?

Potager du Roiポタジェ・デュ・ロワ、つまり「王様の菜園」は、1678年から1683年にかけて造られ、王宮の食卓で供する食材を栽培していました。美食家の王様を喜ばせるために、世界各国から珍しい果実や野菜が取り寄せられ、温室も整備。5000本以上の木が現在も残っていて、もっとも古い木で140歳を迎えるそう。なかでも種類が多いのはリンゴとナシで、あわせて約320種類。現在は、菜園内に国立高等造園学校があって、生徒たちの実験専用の菜園もあります。

ルイ14世の時代、宮殿で盛んに食べられていたのは、瓜や、タイムやローズマリーといったハーブ類、そして食用花。なかでも金蓮花(キンレンカ)は、ハツカダイコンの味がするとして好まれていました。反対に、卑しいとされた食べ物が、根菜類。土の下にあるために汚いとみなされていました。ましてや“太陽王”と呼ばれたルイ14世ですから、光を浴びた野菜しか、口に入れるはずはなかったのです。

それでは、ルイ14世が好んだ野菜は何かというと、グリンピースとアスパラガス。根菜類を食べない王様が、地面を押しのけて生えてくるアスパラガスを食べたのは、当時、媚薬のような効能があると信じられていたからだそう……。

面白いのは、木々の形。壁に支柱を張り巡らせて枝をはわせたり、枝が上に伸びないように重りを付けたりしながら、人工的に形をつくっているのです。少し痛々しい感じもするのですが、菜園というより、庭園に近い感覚だったのでしょう。

春はハーブやアスパラガスが菜園を彩り、新緑の季節を迎え、そして夏にはトマトやキュウリが実ります。秋はリンゴやイチジクが収穫の時期を迎え、冬には雪が木々を覆って、季節ごとにその姿を変えて楽しませてくれます。菜園で栽培された野菜や果物、ハチミツ、フルーツジュースなどは売店で買うこともできるので、機会があれば、王家伝来の味をためしてみてはいかがでしょう?

〈文・三富千秋/フランス パリ在住〉

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