パリは雪が散らつく季節になりました。朝、路上駐車をしている車の上にうっすらと雪が積もっていることも少なくありません。年が明けてしばらくすると街は落ち着きを取り戻すのですが、クリスマス装飾が取り払われた後の風景は何だか宴のあと・・・という印象が拭えず、厳しい寒さと相まって私にとっては1年のうちで最も寂しく感じる時期になります。しかしここフランスでも、お菓子屋はクリスマスが終わってからもイベントが目白押し。エピファニーのガレット・デ・ロワ、バレンタイン、イースター、ポワソン・ダヴリル、ミュゲ・・・春までショーケースは賑やかです。今回は時節柄ガレット・デ・ロワの話を。

クリスマスが終わると、年末から1月末にかけて、フランスのブーランジュリー・パティスリーのショーケースにはガレット・デ・ロワが並びます。この「王たちの焼き菓子」という名前を持つお菓子、元来は1月6日の公現節を祝うキリスト教の祝祭菓子で、最近は日本でもずいぶんポピュラーになりました。昨年も「ストーリー」のコーナーで紹介しておりますが、近頃のパリでは、ブーランジュリー・パティスリーがそれぞれのクリエイティビティを表現するお菓子になってきています。

クラシックなガレット・デ・ロワはパイ生地とアーモンドクリームのシンプルな組み合わせですが、いろいろな味の組み合わせを提案するパティシエが増えています。また、ガレット・デ・ロワにつきもののフェーヴと王冠は既製品を使うのではなく、それぞれのお店のオリジナルを用意することが主流になりました。ガレット・デ・ロワの味、フェーヴや王冠のデザインとも毎年新しいものにするところが多く、さながらファッションのコレクションのようで、例年リサーチするのがなかなか興味深いイベントです。

さて、アンリ・シャルパンティエのガレット・デ・ロワはパリラボでシェフフェルデールと開発しています。昨年は個性的なクリエイティブ系のものを2種類提案しましたが、今年はいろいろ考えて、ぐっとクラシックなもの一本勝負!という形にしました。パリのパティシエたちの間では最近「Classique revisité クラシック・ルヴィジテ(伝統の再解釈)」といって、創作的なお菓子を追求するより、伝統的なお菓子のレシピを見直す動きが活発になっています。そこで今回はクラシックなガレット・デ・ロワをシェフフェルデール流の解釈で現代的タッチを加えて提案することにしたのです。最初はブーランジェである父親のレシピを使おうかな・・・と考えていたようですが、それでは少し軽さが足りないので、パイはサクサク感を出す逆折り込み製法、クリームはカスタード・クリームを合わせたフランジパーヌにし、ビターアーモンド風味とラムをほんのり香らせて仕上げるようにしています。
それから販促の目玉企画として、今年はパリラボからフランスの業者に注文し、アンリオリジナルのフェーブを4種類ご用意しています。日本のフェーヴコレクターの皆さん、これは注目です!かなり可愛く仕上がっていますので、自信を持っておススメします。

そして最後に、意外と知られていない伝統的なガレット・デ・ロワの楽しみ方を紹介いたします。
1、まず参加者のひとりがテーブルの下にもぐります。この役割、フランスでは子どもがすることが多いようです。
2、ガレット・デ・ロワを人数分に切り分けます。
3、テーブル周りのひとりが、ひと切れずつ指さし「これは誰のぶん?」と聞きます。
4、もぐっている人が、それを誰が食べるのか指定します。
5、参加者全員のピースが決まるまで、4と5を繰り返します。
6、全員分が決まったら、皆でガレット・デ・ロワを食べます。さあ、誰があたったでしょうか?
7、フェーヴにあたった人が王様、女王様になります。紙の王冠をかぶります。

これもシェフフェルデールに教えてもらいました。パリラボでも毎年この方法でガレット・デ・ロワを楽しんでいるんですよ。
(2010年12月)

