パリはそろそろ冬の入口です。11月初めまで、ラボ近くのリュクサンブール公園など見事な紅葉(パリの紅葉で紅いものは少なく、実際には茶色から黄色のグラデーションですが・・・)で目を楽しませてくれましたが、雨が続いてあっという間に葉は散り落ち、落葉が敷き詰められた枯木の並木道、という冬の景色になりました。この時期になると、もうすぐクリスマス!という楽しい気分になってきます。


日本でも最近はずいぶん早く、11月になれば商業施設はクリスマス装飾が施され、クリスマス商戦の立ち上がりとなりますが、それはパリでも同じで、気の早いデパートやショッピングセンターでは10月末頃からクリスマスのイルミネーションが始まります。有名なシャンゼリゼ大通りのイルミネーションも準備工事が始まっています。この原稿がUPされる頃には、パリはシャンゼリゼのような大通りから小さな市場通りに至るまで、街中がイルミネーションで美しく彩られ、1年で最も華やかな時期を迎えていることでしょう。

クリスマス、パリのパティスリーの主役は、何といってもビュッシュ・ドゥ・ノエル。最近では昔ながらのロールケーキにバタークリームのデコレーションをしたビュッシュはほとんど見かけないようになり、半円筒型で仕込むムースタイプのものが主流になりました。ムースになると味もデザインも色々と自由がきくため、各パティスリーとも趣向を凝らし、モダンなデザインに意外性のある味の組み合わせなど、年に1回のクリエイションを競う場になってきています。人気のパティスリーでは早めに予約をしておかないと、当日飛び込みで買いに行っても、新作ビュッシュは手に入れられないことが少なくありません。
アンリ・シャルパンティエでも、銀座本店をはじめいくつかの店舗限定で、シェフフェルデールの手掛けたビュッシュ・ドゥ・ノエルを販売しています。ただ日本のクリスマスは、生クリームといちごを組み合わせたショートデコレーションタイプの人気が圧倒的に高く、ビュッシュはまだまだこれから・・・といったところです。やっぱりクリスマスの家族団らんイメージといえば、白いクリームに真っ赤なイチゴがのっていて、ロウソクを灯して皆で切り分ける――というシーンが目に浮かびますものね。また、私たちには、「フォレ・ブランシュ(白い森)」という創業以来の看板クリスマスケーキがあります。しかし、パリ在住のマーケティング担当者としては少し複雑な感じで、フランス式にビュッシュも悪くないですよ・・・と控えめにPRさせていただきます。特に銀座本店限定の「ココ・ディスコ」はココナッツとキャラメル、りんごという一風変わった味の組み合わせなんですが、シェフフェルデールのパリのパティシエ仲間に試食してもらったところ、絶賛だったという話を聞きました。プロが美味しいというビュッシュってどんなの・・・?とご興味を持たれた方はぜひぜひ銀座本店へお問い合わせを。

写真で紹介させて頂くような美しいイルミネーションの数々、趣向を凝らしたデパートのショーウインドウ、フォアグラや牡蠣などのごちそうで埋め尽くされるエピスリー(食料品店)やマルシェ、ヴァン・ショー(ホットワイン)の温かな湯気が立ち上る広場のクリスマス市、フリュートグラスに弾けるシャンパンの黄金の泡、そして静かな静かな25日のクリスマスのその日――この時期、クリスマスのパリは世界でも本当に特別な場所だということを、毎年感じさせられるのです。
(2010年11月)

