実りの秋を迎えました。フランスでにわかに話題の中心となる秋の味覚は、ぶどう。なかでもvendangeヴァンダンジュ(収穫が始まるワイン用のぶどう)です。今年のヴァンダンジュは、昨年より1週間ほど遅めで、9月初めにスタート。各地とも10月半ばころまで続きました。今年は、開花の季節に気温が低かったため、成長が遅れ、収穫量は少なめだそう。実はパリにもまだぶどう園が残っていますが、もっとも有名なモンマルトルの丘のぶどう園では、毎年恒例の収穫祭が10月6日~10日に行われました。


スーパーマーケットやハイパーマーケットでは、秋の恒例行事として、Foire aux vinsフォワール・オ・ヴァン、つまりワイン祭りが一斉に開催されます。専用スペースにワインボトルをずらりと並べ、お得な価格で販売。箱単位で買うとさらに割引になるため、みなこぞってまとめ買いをしていきます。有名シャトーのワインもあり、初日の朝のオープンと同時に買い込んでいくワイン通もいます。ワイン消費量が落ち込んでいるフランスですが、こうした思い切りのいい買いっぷりを見ていると、日本の消費量との差を、ひしひしと感じさせられます。とはいえ、ワイン専門店と違って「ボトルの扱い方が雑で、ワインの質が保証されていないから、フォワールでは購入しない」というこだわりのフランス人もいるようですが……。
そして今月になると、ボジョレー・ヌーボーが解禁。今年収穫されたぶどうから造られた新酒primeurプリムールのひとつです。ちなみに、プリムールにはもうひとつ意味があり、瓶詰めする前に購入する、つまり先買いワインのことも。たとえば、2009年に収穫したぶどうを使ったボルドーのプリムールは、今年春から販売が始まっていますが、実際にワインが瓶詰めされるのは2012年初頭。ワイン醸造者と買い手との信頼関係で成り立っている一風変わった商習慣ともいえます。待つ時間は長くても、著名なシャトーをはじめとするボルドー・ワインを安く買う方法として注目されているそうです。ワイン好きにとっては、ワインの熟成を待つ時間が、楽しいのかもしれませんね。

〈文・三富千秋/フランス パリ在住〉

