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Lettre de Paris

「パリからの手紙」では、さまざまな角度からパリ「衣・食・住」情報を毎月お届けする予定です。

味わい深いスペキュロス

ベルギー生まれのキャラメルシナモンクッキー

バカンスが終わり、すっかり秋らしくなって、パリの街は落ち着いた表情になりました。赴任した最初の年、私は驚いたのですが、パリでは8月末になるとマロニエの葉がすっかり色づいて枯葉が舞い、朝夕ぐっと冷え込むようになります。日本ではまだまだ残暑が厳しい時期に、薄手のコートを着て通勤するというのはなかなかギャップがあるものです。そしてこれが厳しい冬への序章になる訳ですが・・・、今年の日本の猛暑に苦しめられた方からすれば、そちらの方がマシと思われるかもしれませんね。

この時期のパリの良いところは、何といっても仕事がスムーズに進むことです。パリジャン・パリジェンヌの皆さんはバカンスを終えて充電完了、日頃は不機嫌な方たちが不思議なくらいにこやかに頼んだことを引き受け、しかも予想より早く仕上げてくれます。(まあそう長くは続かないのですが。)「Vous êtes bien bronzé! よく日焼けしてますね!」と声をかけると、それほど普段は話さない人でも進んで楽しかったバカンスの話をしてくれ、さらにご機嫌度がアップするので面白いです。

さて今月は、つい先日発売になった秋のパリ・ブランシェの話を。今回のテーマ「味わい深いスペキュロス」は、シェフフェルデールが今年の4月に出版したレシピブックのテーマとタイトルを、そっくりそのまま引用しています。この「スペキュロス」、日本の方々にはあまりなじみがないかもしれませんが、写真をご覧になると、ああ、あれね!という方も決して少なくないと思います。

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スペキュロスは、フランドル地方(ベルギー西部、オランダ南部、フランス北部にまたがる地域)を代表するお菓子。もとはパン・デピスをルーツにすると言われ、聖ニコラの祝日(12/6)を祝うお菓子として、この聖人をかたどってつくられていました。今ではフランドル地方だけでなく、ヨーロッパで一般的に流通するクッキーになっています。スーパーで気軽に手に入りますし、フランスやベルギーではコーヒーを注文すると、かなりの確率でこのスペキュロスがお茶請けとして添えられてきます。日本でも「カラメルビスケット」として販売されており、フランスやベルギーと同じようにカフェでコーヒーに添えられていることもあります。味はキャラメルシナモン風味で親しみやすいクッキーです。キャラメル風味は砂糖を焦がしているのではなく、多くの場合、フランドル地方特産の「ヴェルジョワーズ」(甜菜糖)を使っていることによります。スペキュロス独特の滋味深い味わいは、このヴェルジョワーズに秘密があります。

スペキュロスの最大手のブランドはベルギーのロータス社ですが、そのロータス社が昨年秋、スペキュロスのタルティネ(スプレッドクリーム)を発売したことで、フランスのパティスリーの世界にちょっとしたスペキュロスブームが起きました。タルティネとは甘いタルティーヌ用のクリーム、主には朝食で、薄切りにしたパンに塗って食べるものです。クリームですので製菓用材料として使いやすく、独特の風味も得やすいことから、ケーキに取り入れるパティシエが相次ぎました。そして我らがシェフフェルデールをはじめ、有名パティシエが相次いでレシピブックを手掛けたり、有名ブランドのアイスクリームのフレーバーとして登場したりしたことで、フランスでは広く一般の方にも注目度が高まったのです。

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というように、スペキュロスは現在パリでとてもブランシェな(流行りの・イケてる)素材です。いろいろなケーキにスペキュロスを少し遊び感覚で取り入れてみる感じで3品をクリエイションしました。レシピブックも手掛け、ブームの真ん中にいるシェフフェルデールですから、その自在なスペキュロス使いには注目!です。ぜひお試しください。

あれおかしいな?今回の私のコラムは何だかあまりアンリのケーキのPRをせず、ロータス社製品のPRをしているようになってませんか?

(2010年9月)

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