パリラボって、普段は何してるんですか?と色々な方からよく質問を受けます。パリラボの業務でもっとも重要なのは、前回のコラムでご紹介したような新商品開発ですが、そればかりではなく、他にもいろいろな仕事があります。その中で大事なものとして、シェフフェルデールの取材対応や撮影協力があります。
シェフフェルデールは、メディアで活躍するパティシエとしての顔を持っています。レギュラーでは現在雑誌に月2本の連載を抱えており、ひとつはフランスで人気の料理雑誌エル・ア・ターブルELLE à table、もうひとつは日本の専門誌[カフェ-スイーツ]café-sweets。その他にも不定期で、例えばVOL.04でご紹介したフランスの新聞ル・フィガロLE FIGALOの美食審査会や、フランスの製菓業界専門誌ル・ジュルナル・デュ・パティシエLE JOURNAL DU PÂTISSIERでのレシピ解説、ラジオで一般聴取者からお菓子づくりに関する電話質問コーナーを持っていたり・・・など、フランスではこの方面でもかなり売れっ子のパティシエなんです。
日本の柴田書店さんの[カフェ-スイーツ]café-sweetsとシェフフェルデールとは長いお付き合いで、先日まで2年24回におよぶフランス地方菓子をテーマとした連載をしており、それを終えたばかりです。そして引き続きこの4月からはテーマを変えて新連載を始めることとなり、2月某日その第1回掲載分の撮影が弊ラボで行われました。
新連載のテーマは「パリの新・古典菓子」。現在パリのパティスリーでも中心となっている手法で、古典的なフランス菓子のレシピを検証し、シェフフェルデール流の解釈をして、コンテンポラリーなスタイルで再構築し提案するという企画です。シェフフェルデールは先端の製菓技術を駆使して新しい味覚の創作を行うことも得意ですが、故郷アルザスで両親の営むブーランジュリー・パティスリーで小さい頃からお菓子に接していたからか、古典をどう見直すか?ということを常に考え、その現代風解釈を行うことも得意にしています。そういう意味ではシェフフェルデールにぴったりの企画が始まったわけです。
撮影は朝から陽が落ちるまで、まる一日かけて行われます。写真のように非常に和やかな現場で、大御所料理研究家などの撮影にありがちなピリピリした空気はありません。シェフフェルデールは冗談を言いながら、テキパキとまず作業工程の撮影を進めていきます。そして作業工程の撮影を終えると、最後に仕上がりのイメージショットを撮ります。誌面の扉となるイメージショットは重要で、この写真の出来によって読者への印象が左右されるため、シェフフェルデールも真剣です。そしてテストシューティングの間に、ケーキの仕上がりで気になる部分を見つけては、修正を加えていきます。このときばかりはあまりの集中力に私たちもそばに近寄るのをためらうほどですが、しかし最も勉強になるのもこのイメージショットの撮影時です。どのようにしてイメージを具体的な映像にしていくのか、シェフフェルデールの動きを見ながら、後で質問して教えてもらうのです。

シェフフェルデールは言います。「どんなに時間をかけてつくった素晴らしいケーキでも、最後の撮影をいい加減にしてしまえば、お客様においしそうであることが伝わらず台無しになる。撮影というのはパティシエにとって大事な仕事なんだ。」と。その言葉通り、連載第1回目はいつにも増して真剣、パリ・コレのオペラ・バーガーをベースにして、シックなイメージをつくりあげました。

(2010年4月)

![[カフェ-スイーツ]新連載](img/h3.gif)