3月1日から新しいパリ・コレクション「パティシエのサンドウィッチ―――甘い時間をサンドしてピクニックへ行こう」の5品をリリースしました。今までのシックなコレクションとは打って変って、サンドウィッチをイメージした見た目に驚かれたかもしれません。しかし、ぜひ一度お召し上がり下さい!味はパリで食べるものと同じ、紛れもない正統なフランス菓子で、そのギャップにもう一度サプライズを仕掛けています。今回は、この新コレクションがどのようにしてできたのか、パリラボでの制作過程についてお話ししたいと思います。
コレクションの開発をスタートさせるときには、まずラボスタッフ全員でディレクション・ミーティングを行います。いつも3つくらいのコンセプトを用意し、企画担当からシェフフェルデールとスタッフへプレゼン、その後皆で議論してテーマを決定します。そして採用されたテーマに沿って、どのような素材を使ってどのようなケーキをつくるのか、シェフフェルデールを中心にアイデアをカタチに落とし込んで行きます。

今回のテーマの出発点は、あるときシェフフェルデールが私たちにつぶやいた「これからはビスキュイBiscuitとクレームCrèmeのシンプルなお菓子が大事。」という言葉から。ビスキュイ(スポンジやサブレなどの生地)とクレーム(クリーム)という要素の組み合わせを、お菓子のサンドウィッチ的手法と解釈し、それをコンセプトとして展開していきました。シェフいわく「サンドウィッチだから、ピクニックへ持って行って手で持ってほおばれるような気軽なイメージのケーキにしたら面白いんじゃないかな」ということで、サンドウィッチというキーワードからどんどんイメージが拡がり、ピクニックという春にぴったりなテーマにつながっていったのです。

試作は最初から見た目にインパクトのあるものが次々と生まれました。10種類以上の候補作ができ、絞り込みに少し悩んだくらいです。その中で残っていったのは、やはり正統なフランス伝統菓子をベースとするもの。サンドウィッチ風のルックスが上滑りしてしまわないよう、味はあくまでオーセンティックであるのがシェフフェルデール流です。特に「オペラ・バーガー」では、最もキッチュなハンバーガーという題材に最もクラシックなオペラという伝統菓子を掛け合わせて、その本質をぶれさせることなく、正反対のイメージをクリエイションとして着地させるという離れ業をやってのけました。
そして開発中は研究のため、本物のサンドウィッチもたくさん食べました。「パニーニって焼き具合は?」とスタンドへ買いに走り、「クロック・マダムってどんな構成だったっけ?」と近くのカフェに行って注文し・・・。約1ヶ月の間、スタッフのランチは連日サンドウィッチでした。

さて、2003年から通算して22回にわたりお届けしてきたこの「パリ・コレクション」、店頭ではあまり大々的にお知らせをしていないのですが、実は今回で最後となります。夏からはまた新たなシリーズのお菓子を、パリからシェフフェルデールと開発してお届けする予定です。今はその制作作業が大詰めを迎えています。どうぞお楽しみに!
(2010年3月)

